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ベアクロウのつぶやき(個人日記ブログ) HOME

思わず感涙
2009/06/16

ピアニストの辻井さんの活躍はうれしい限りです。
その活躍のおかげで三宮さんを知りました。
早速、エッセイを読みました。
あとがきから読み始める事が多いのですが
あまりに素晴らしいあとがきで ワードに写しました。
是非、皆様とも分かち合いたいと思います。

ある学校で、講演した時、高校生の男子が質問した。

「もしも、僕が薬の副作用で目がみえなくなったらどうしたらよいでしょうか?
どんな気持ちを持って生きたらいいのでしょうか」

将来の不安はだれしも抱えていよう。
年をとったらどうなるのか。
交通事故に遭ったり病気になったらどうしよう。
自然災害や戦争に巻き込まれたらどうしよう。

杞憂のようでいて、現実にそうなっても全く不思議ではないことへの心配は誰の心の中にもこっそりと隠されていることだろう。

しかし、いざその恐ろしい不安が現実になってみると
その現実はまるで予想外のことのように思えてしまう。

私も両親もまさか目の見えない人生が私を待ち構えていようとは
それこそ病院を出てからもなお信じられなかった。

だが、現実には私は目が見えない子どもとして育ち
視覚障害者として働きおそらくこれからもずっと光を直接見ることはないだろう。

時々、「目だけでよかった」と励ましてくださる方がいる。
だが、体に障害を負うということはその重さにかかわらず、
その人の人生を全く違うものへと変化させてしまう。

それは間違いなく大きな試練である。
だから、目だけでよかったとか重複障害だから不幸だといった
表現はナンセンスだと思う。

可哀そうだとか恵まれているとかあるいは幸福だとか不幸だとか
そんなことを他人は憶測することはできない。

言う方は思いやりのつもりでも、
それはあくまで健常者側の側から対岸を眺めるような机上の空論と言えるのではなかろうか。

しかし、それでも私は幸福である。
様々な方々に愛情と時間をいただきながら
私自身も力を振り絞って幸福となることができたから。
災難やパニックに直面しても
いつかはそれが「試練」として終わってくれると信じているから。
そして絶望しないためにいつも希望を持とうと決めているから。

「目が見えなくなったらどうすればいいか」と質問した生徒さんは
中途半端な関心からこの質問を発したわけではなかった。

彼は一見ごく普通に生活しているのだが実は重い病気が再発する恐れがあり今度も発病したら命にかかわる可能性もあるという危険な状態であった。

だから、彼は漠然とした不安ではなく現実に自分がそうなればどうすればいいのかと聞いてきたのである。
私を「頑張っている障害者」というよそよそしい存在ではなく
「自分より少し先の道を行く先輩」として意識した上で真剣に質問してきたのであった。


読者のあなたならどのようにお答えになるであろうか。
負けずに自分らしく生きてくれと言うだろうか。
それとも泣きたいときは思いっきり泣いて素敵な自分を探してくださいと言うだろうか。あるいはもっと重度の障害のある人もいるのだからありがたく思いなさいというだろうか。
いや、きっともっと素晴らしい言葉をかけてくださると信じている。

実を言うとこれらの言葉は今まで私が数多くの人からかけられたものである。誰もが善意と思いやりで私を慰めてくれている。
それは痛いほどよく分かる。

でも、言われる側の苦しみや八方ふさがりのいらだちを全く考えに入れない安易な言葉に聞こえてならなかった。

だから、私はこの生徒にはそんな思いさせまいと必死で答えを探した。

すると、自分でも驚くほど熱い気持ちがこみ上げてきて、こんな言葉が出てきたのである。


「心が落ち着くのを待ってから、まず希望を見つけてください。

あなたの体は傷つくかもしれないけれど命は傷つきません。

重い病気であろうと障害を持っていようと自然の摂理によって

私たちがいただいた命は清らかで無傷なのです。」


会場は水を打ったように静まり返っている。

私は少し時間が長くなるのを承知で続けた。


「目のことではありません。

ここにいる皆さん一人一人大きな悩みや苦しみを持っておられることでしょう。

でも、そうした全ての困難に対してこのことは言えるのです。

どんな時も希望を見つけることを忘れないでください。

明日はここまで歩いてみたい。明日はここまで本を読んでみたい。

あそこに行ってみたい。この人に会ってみたい。

何でもよいのです。絶望しないために希望を持つのです。

絶望は破滅しかもたらしませんが、希望はもっと大きな希望をもたらします。

生きる力を生み出してくれます。

この命を大事にするためにもどうぞ希望を探してください。」


彼は少し間をおいて「ありがとうございました」と大きな声で言った。


質問の時とは全然違った元気あふれる声だった。

そして私も彼の声に元気をもらった。      


   目を閉じて心開いて 三宮麻由子著 岩波書店より

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コメント

こんばんは。
素晴らしい文章をありがとうございました。
いつまでも希望を持って、素敵な人生を歩めたらいいですね~♪

投稿者 M.M : 2009年06月18日 18:57

>M・Mさん

コメント有難うございます。

共感していただいて嬉しいです。

良い文は人を勇気付けますね。

投稿者 ベアクロウ : 2009年06月21日 12:14

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R-cubic代表 池田信也
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